2016年、経済産業省はいわゆる「第四次産業革命」に関する報告書を公表した。この報告書は、冒頭で次のように述べている。
「近年、ビッグデータに代表される情報処理可能なの飛躍的増大や、コンピュータの計算能力向上、人工知能等の第四次産業革命と呼ぶべき技術新が進行している。こうしたなかで、平成 28 年 6月 2日に閣議決定された「日本再興戦略2016」は、この革命を技術、ビジネスモデル働き手に 求められるスキルや働き方に至るまで、経済産業社会システム全体を大きく変革するものとしている。その上で「日本再興戦略2016」は、我が国が歴史的な分岐点にいることを示しつつ、我が国を成長軌道に乗せ、世界で最も魅力的な国とするための羅針盤として位置付けている」
――経済産業省「第四次産業革命に向けた横断的制度研究会報告書」より引用
これは、たとえばVenture Challenge 2020(内閣官房ベンチャー・チャレンジ2020)などのように、第2回東京オリンピック開催年の2020年前後までといった短期間の戦略ではなく、それよりもはるかに射程の長い長期戦略である。国際的には、ドイツ政府が推進する製造業の高度化を目指す戦略的プロジェクト” Industry 4.0(インダストリー4.0)”なども、一定の部分で類似する国家政策といえよう。
本機構が目指すものは、この「第四次産業革命」” Industry 4.0”に基本的に賛同・協賛するものであり、したがって共通するものも多いが、日本の経済産業省やドイツ政府が取り上げていない分野や技術もまた多い。さらには22世紀以降に予想される「第五次産業革命」” Industry 5.0”をも射程に入れている。
サイエンス・インターナショナル版Industry 4.0
数学・物理学・天文学・化学などの基礎学術研究に基づいた実際的実用的科学研究の結果、さまざまな実験実証、観測観察成果、イノベーション(技術革新)や最先端テクノロジーが誕生している。こうしたイノベーションや最先端テクノロジーが第四次産業革命、第五次産業革命を生み出し、経済や産業を変え、社会や文化を変え、私たちの身近な暮らしそのものをも変えてゆくのである。ちょうど、18世紀の産業革命がその後の私たちの社会や暮らしを一変させたように――。
以下、”サイエンス・インターナショナル版Industry 4.0(第四次産業革命)”のあらすじを項目的に列挙する。
1. 再生可能エネルギー
風力発電、水力発電、地熱発電、潮汐力発電、大気圏内地上の太陽光発電、大気圏外宇宙の太陽光発電、暗黒エネルギーをエネルギー源とする「ダークエナジー発電」等々。
2. アンチエイジング
学術的・技術的なアンチエイジング(抗老化医学)であり、ちまたに流行するコマーシャル的・非科学的な「アンチエイジング」ではない。アンチエイジングは着実に科学的に現実味を帯びてきているのだ。本機構は、このようなアンチエイジングを研究・開発から臨床的成果に至るまでを目標の一つとしている。
3 iPS細胞
4. 新しい癌治療技法
5. 認知神経科学と脳スキャン
6. 比較認知科学